white veill 7
久しぶりに会わないか、と聖からメールが入った。
聖からこんな連絡があるのなんて、いつぶりだろう。
少なくとも、あの日からは…。
やはり、私たちのことについて何か聞かれるのだろうか。
聖は心配性だから。
でも、今はまだ、そっとしておいて欲しい。
だけど、うまく断れる自信がなかったし、少しだけ聖に会いたい気もして。
私はその誘いに応じた。
「蓉子さぁ。 最近めっきり店に来なくなったから、私は寂しいよ」
「ちょっと、忙しくて…」
嘘。
本当は、江利子に会うのがいやだったから。
江利子と、あのこが仲良く仕事をしている姿なんて、見たくない。
「まぁ、学校も隣町だしね。 けど、ヒマだなぁ〜って思ったらさ」
「ええ。 そのうち顔を出すわ」
その答えで満足がいったのか、それとも振りなのか。
聖は私に笑いかけてただけで、それ以上何も言わずに歩いた。
「お?」
「なに?」
何かを見つけたらしい聖の目線を辿ると。
「祐巳ちゃんと由乃ちゃんだ。 ホラ、あそこ」
急に自分の心臓の音が聞こえた。
忘れもしない、あのこの顔。
二人は遠くの方で手をつないで歩いていて、私たちには全然気付いていない。
すごく仲が良さそう。
手を、つないで…。
手、を…?
「……どう、して?」
「あのふたりももうすぐ付き合って3ヶ月だってゆーのに、仲がいいこと。 あ、3ヶ月だからか」
私の呟きが聞こえなかったのか、聖は独り言のように言った。
「……え? 付き合って…?」
「え、あれ? あ、そっか。 あの二人が付き合い始めたころには、蓉子はうちの店に来なくなったからね」
「付き合ってるの? あの二人が?」
「そうだよ。 江利子のおかげでね」
「どういう、こと?」
聞くと、聖は眉をひそめて私に向き直った。
「聞いてないの? 由乃ちゃんは知ってるよね? あの三つ編みのコ。 あのコが祐巳ちゃんってゆー、ツインテールのコが好きだって江利子に相談して。 そんで江利子が由乃ちゃんに色々アドバイスとかしてあげてたんだよ」
「嘘…」
「ほんとだってば」
それじゃ、私は…。
江利子に、なんて酷いことをしてしまったのだろう。
『white veill』 7話 終わり
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